向き合う
告白します。僕は広島が苦手です。忌まわしき過去のトラウマが原因で、苦手でした。
小学生のころ、平和学習の一環として見せられた一本のアニメがあった。あの有名な「はだしのゲン」だ。漫画版のややコミカルタッチな作風とは違い、アニメ版の描写はまさしく地獄絵図だった。まだ10歳そこらで、しかも人一倍怖がりだった僕には、あの原爆投下のシーンが本当に怖くて怖くて仕方なかった。何度も夢にも出てきた。眠れない夜もあった。おかげさまで戦争反対。平和教育は見事に功を奏したようです。
その代償として、広島という土地に恐怖心を持っていた。どうしてもあのシーンが蘇る。割れる風船、溶ける人、溶けた人のアトが出来た石、川に飛び込む人、水を飲んで死ぬ人、黒い雨。子供心に、広島にはそんな光景が今でもあるような気がして、絶対に行きたくなかったし、行かなかった。特に原爆ドームは象徴のようなもので、写真で見るだけでも嫌悪感がした。
あのトラウマから10年ほど経った。もうそろそろいいだろうと、いい加減向き合おうと、覚悟して広島を訪れた。驚くほどお好み焼き屋が多くて、便利な路面電車がある、イカした街だった。そして、本物の原爆ドームをこの目で見た。夜だったので禍々しい光景を想像していたけど、おしゃれにライトアップされてて少し拍子抜けだった。なるほど、これが原爆ドームか。どこまでも痛々しい。でも、もう大丈夫だ。きっと誰にも理解されないだろうけれど、僕の中ではすごく大きくて長い戦いが一つ終わった。少し大人になれた。
時間の都合で平和記念資料館には行けなかったけれど、時間があっても行ったかどうかはわからない。トラウマの爪痕は深い。広島はいい街だった。次はちゃんと時間を取って観光に来よう。次に来たときは資料館だけでなく、広島城と、ひろしま美術館にも行こう。カープの試合も見れるといい。
ちなみに、似たような理由で、まだ沖縄の地に立ったことがない。沖縄にも、いずれケリを付けよう。
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