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Non Stop Thinking

夫婦別姓に賛成しない理由

選択的夫婦別姓の議論について、考えていることをまとめてみます。

立場

私の立場を明らかにしておきます。

私は選択的夫婦別姓に賛成しませんが、反対でもありません。

賛成ではないのでどちらかと言えば消極的な反対の立場になると思いますが、夫婦別姓に反対とされる一般的な理由に「日本の伝統」や「家制度の崩壊」ばかりが取り上げられることに抵抗があり*1、私が賛成しない理由について記しておこうと思います。

前提

現在の導入が検討されている日本での選択的夫婦別姓の制度の詳細がわからなかったので、以下の記事にあったアメリカの夫婦別姓を前提として書きます。

意外に保守的、アメリカの「選択的夫婦別姓」事情(田中めぐみ) - 個人 - Yahoo!ニュース

州により法律は異なりますが、米国では概ね以下5つのタイプの姓を夫婦それぞれが婚姻時に選べます(例:夫スミスさんと妻ブラウンさんの場合)。

  1. 自身の姓を維持 (夫スミス、妻ブラウン)
  2. 相手の姓に変更 (夫婦共にブラウン、夫婦共にスミス)
  3. 夫婦の姓の全部・一部を統合 (ブラウンスミス、スミスブラウン、ブラスミなど)
  4. 夫婦の姓をハイフンで結ぶ (ブラウン-スミス)
  5. 夫婦どちらかの姓をミドルネームにする(ブラウン・スミス)

また、選択的夫婦別姓に賛成する一般的な理由は以下の2つだと理解しています。*2

  1. これまで使ってきた姓をずっと使い続けたい
  2. 姓を変更することによって手続きなどの不利益が生じる

賛成しない理由

現行制度で同じ姓を使うことが可能

婚姻時に登録する戸籍は、夫と妻が同じ姓を称さなければなりませんが、夫か妻のどちらかの姓を選ぶことができます。

選択的夫婦別姓に賛成する一般的な理由の1つ目「これまで使ってきた姓をずっと使い続けたい」は、夫婦同性でも実現可能です。

姓の変更による不利益は解消されるべき

選択的夫婦別姓に賛成する一般的な理由の2つ目「姓を変更することによって手続きなどの不利益が生じる」は私も問題だと思いますし、姓の変更による不利益は解消されるべきであると思います。

しかし、不利益の解消のために夫婦別姓にする必然性があるとは考えられません。社会が戸籍名への依存を軽減し、旧姓の使用を許容すべきであると考えます。

子供の姓の選択

アメリカでは、子供の姓は選択できるようです。

子供が生まれた時には夫婦どちらの姓でも両姓の結合でも選べます

兄弟姉妹が生まれたときは、それぞれ異なる姓を選択するのでしょうか?兄弟姉妹での別姓は許容しますか?

婚姻時に子供の姓を選択するのであれば1度で済みますが、出生ごとであれば2回以上の姓の選択が必要になります。*3

また、子供の姓について出生後に夫婦の意見が別れた場合どのように解決するのでしょうか? 出生後に裁判するのでしょうか? 判決が出るまで、子供の姓はどうなるのでしょうか?

夫婦を別姓にしたとしても、新生児の姓を夫か妻のどちらかを選ぶことに変わりはなく、その影響が子供に及ぶのであれば反対です。*4

改めて自分の立場

夫婦別姓が先進的な制度である、という風潮に抵抗があります。 夫婦別姓は、姓の選択を出生時まで先延ばしにする制度であり、根本的な解決に至っていないと思っています。

子供への行政上の影響がない制度であれば選択的夫婦別姓に反対する理由はありません。*5

また、個人的な思想で言えば、婚姻は戸籍を新たに作るという行為ですから、夫婦の姓は自由に選べてもよいのではないかと思います。 夫婦のどちらかの姓しか選べないことは不自由ですし、新しい姓を創出できてもいいんじゃないかなと思います。*6

結局、夫婦別姓は限られた選択の自由でしかないですし、戸籍の運用上の一定の制約を受けることは仕方がないと考えると、選択的夫婦別姓には積極的に賛成しません。

*1:これらの理由については全く賛同しておらず

*2:それ以外の理由もあるかと思いますが、大きな理由はこの2つではないでしょうか

*3:兄弟姉妹の姓を同一とする制度にすることも可能でしょうが

*4:これを回避するために、例えば婚姻の届け出時に子供の姓を選択する、などは考えられます

*5:婚姻の届け出時に子供の姓を選択する、など

*6:婚姻時でなくとも姓を自由に選択できてよいとすら思います